RAID 0 (ストライピング)
RAID 0は、速度を最優先する構成です。データを「ストライプ」と呼ばれるブロックに分割し、複数のディスクに同時に分散して書き込みます。これにより、読み書き速度が劇的に向上します。このセクションでは、その仕組みと極端なトレードオフを探ります。
簡易図解 (2ディスクの場合)
メリット
- 読み書きの速度が非常に高速(理論上はディスク数倍)
- ディスク容量を100%使用できる
デメリット
- 耐障害性が全くない
- 1本でも故障すると全データが消失する
RAID 1 (ミラーリング)
RAID 1は、安全性を最優先する構成です。同じデータを2本(またはそれ以上)のディスクに同時に書き込み、完全に同じ内容の「ミラー(鏡)」を作成します。このセクションでは、そのシンプルな仕組みと利点・欠点を探ります。
簡易図解 (2ディスクの場合)
メリット
- 耐障害性が高い(片方が壊れても稼働継続可能)
- 読み込み速度は多少向上する場合がある
デメリット
- 使用できる容量がディスク合計の50%になる
- 書き込み速度は向上しない(またはわずかに遅くなる)
RAID 5 (パリティ分散)
RAID 5は、速度、容量、安全性のバランスを取る人気の構成です。最低3台のディスクを使用し、データと「パリティ」と呼ばれる誤り訂正符号を全ディスクに分散して書き込みます。このセクションでは、その仕組みと利点・欠点を探ります。
簡易図解 (3ディスクの場合)
メリット
- 読み込み速度が高速
- ディスク1本の故障までならデータを復旧可能
- 容量効率が良い((ディスク本数 - 1) × 容量)
デメリット
- パリティ計算のため、書き込み速度がやや低下する
- リビルド(再構築)に時間がかかり、その間は危険
RAID 6 (ダブルパリティ)
RAID 6は、RAID 5の安全性をさらに高めた構成です。「パリティ」を2重に生成・記録することで、より高い耐障害性を実現します。大容量で、よりミッションクリティカルなデータを扱う場合に適しています。
簡易図解 (4ディスクの場合)
メリット
- ディスク2本が同時に故障しても復旧可能
- RAID 5より安全性が格段に高い
デメリット
- パリティが2つあるため、RAID 5よりも書き込みが遅い
- 最低4本必要なため、導入コストが高い
RAID 10 (1+0)
RAID 10は、RAID 1(ミラーリング)の安全性とRAID 0(ストライピング)の高速性を組み合わせた「良いとこ取り」の構成です。まずデータをミラーリングし、そのミラーセットをストライピングします。性能と安全性の両方が求められる場合に最適です。
簡易図解 (4ディスクの場合)
メリット
- RAID 1の安全性とRAID 0の高速性を兼ね備える
- リビルド(復旧)がRAID 5/6に比べて速い
デメリット
- 使用可能容量が50%となり、コストが非常に高い
- 最低4本のディスクが必要
機能比較一覧
各RAIDレベルには明確なトレードオフがあります。このセクションでは、レーダーチャートと詳細な表を使用して、速度、耐障害性、容量効率を視覚的に比較し、どのレベルがどの用途に最適かを理解するのに役立ちます。チャートの凡例(項目名)をクリックすると、特定のRAIDレベルの表示/非表示を切り替えられます。
詳細比較表
| RAIDレベル | 読み込み速度 | 書き込み速度 | 耐障害性 | 容量効率 | 最低本数 | 用途の目安 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| RAID 0 | ◎ (最速) | ◎ (最速) | × (なし) | 100% | 2本 | 一時作業領域、キャッシュ |
| RAID 1 | ◯ | △ | ◯ (1本) | 50% | 2本 | OS領域、重要な小規模データ |
| RAID 5 | ◎ | △ | ◯ (1本) | 高 | 3本 | ファイルサーバー(一般的) |
| RAID 6 | ◯ | ▼ | ◎ (2本) | 中 | 4本 | 大容量アーカイブ、重要サーバー |
| RAID 10 | ◎ | ◯ | ◯ (1本/組) | 50% | 4本 | データベース、仮想基盤 |
導入・運用時の注意点
RAIDは強力な技術ですが、万能ではありません。導入・運用を成功させるためには、いくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。特に「RAIDはバックアップではない」という原則は非常に重要です。
1. RAIDはバックアップではない
これが最も重要な点です。RAIDはディスクの「物理的な故障」からデータを守りますが、以下の問題からは守れません。
- 誤操作によるファイル削除
- ウイルス感染によるデータ破損
- ファイルシステムの破損
- 災害(火災・水没)
対策: 必ず外付けHDDやクラウドストレージへ別途バックアップを取得してください。
2. 同一ロットのHDDリスク
RAIDを組む際、同じメーカー・同じ製造時期(ロット)のHDDを使用することが一般的ですが、これは「同じ時期に寿命を迎える」リスクも意味します。1本故障して交換・リビルド中に、負荷に耐えきれず2本目が故障してデータロストするケースがあります。
3. ソフトウェアRAID vs ハードウェアRAID
- ハードウェアRAID: 専用のRAIDカードを使用。OSに負荷をかけず安定していますが、高価です。RAIDカード自体が故障すると復旧が難しい場合があります。
- ソフトウェアRAID: OSの機能(WindowsやLinux)やNASの機能で実現します。安価ですが、CPUリソースを消費します。